上越地域のお住まい探し株式会社 くびき開発

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山行体験記 火打山~笹倉温泉・春スキー

「あさひやさん、今日、火打に行かない?」

 

朝6時起床、晴天。バカ好い天気だ!!。さっそく燕温泉の「あさひや旅館」の主人・吉田さんに電話を入れる。以前より二人で能生町のシャルマンスキー場から、山スキーで放山~空沢山へのツアーを幾度となく楽しんでいる。放山山頂から見た火打山は、本当に素晴らしく、いつかは火打山からシャルマンスキー場まで滑ってみたいものと願っていた。
その意味もあって、放山~空沢山(標高約1500m)に、何度となく山スキーにて登山を行い、調査を行って来たのだ。2~3日前から、天候の具合を見て火打山に登ろうか?と話し合っていたのだった。
「あさひやさん、今日、火打に行かない?」「即座に行きましょう!」との返答。「行けるところまで行ってみようさね。
それでは、笹ヶ峰牧場に集合しよう。」を合言葉に、あわてて準備に入る。

 

8時30分登山道を出発

 

6時30分、家を出発し、一路妙高高原町・笹ヶ峰へ・・・
妙高インターにて、合流し、笹ヶ峰牧場駐車場に8時到着。
駐車場や道路には、すでに3~40台もの車があり、ほとんどの人達は火打山に向けて出発した後の様だ。
山スキーにシールを貼り、8時30分登山道を出発。先に行った人達のスキーの跡を追いながら一歩一歩進む。
比較的なだらかな、ブナ林の中を進む。

 

10時30分、黒沢川に到着。小休憩した後、最大の難関、十二曲りを登る。そこには、他のパーティーの人達が見える。
あっちに進んだり・・・こっちに進んだり・・・お互い楽(?)そうなコースを選んでの進行だ。
あまりの急斜面で、小生はスキーを脱いで登ってはみたが、ちっとも楽ではないっ!!。
あさひや旅館の主人・吉田さんは元気だ。小生の先を進む。御年66歳、小生は56歳。「10歳も年上なのに、この元気。
たいしたもんだ!!。日頃、標高1100mの高地に住んでいるから、平気なのか?。
小生は標高50mの低地に住んでいるからなぁ~?。」と、一人で負け惜しみの理由を考え、ひたすら前へ進む。

 

火打山の眺望がスバラシイ!

 

ようやく、尾根に出た。笹ヶ峰牧場らしき平場が見える。黒姫山が見える。
ここで小休憩。写真をパチリ。

 

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【写真1】十二曲り~尾根に至る。

 

尾根づたいに進むが相当な急斜面のため、東側の少し下がったところを登る。

しかし、かなり、キツイ!!

ようやく、ゆるやかな斜面となって来たので、ここで腹ごしらえだ。
吉田さんが作ってきてくれたオニギリを食べながら、缶ビールを一杯。
天気は良し、景色は良し、さわやかな風が体を撫でていく・・・。
だが、いつまでも休んではいられない。元気を出して、出発だ。

 

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【写真2】富士見峠手前。

林間コースを過ぎ、ずーっと先が見通せる比較的ゆるやかなコースに出る。
そこを登りきると、峠が富士見平である。遠くに富士山がかすかに見える。
それで、「富士見峠」なのだ。峠から高谷地ヒュッテが見える。
火打山の眺望がスバラシイ!!!!。ワンダフル・ワンダフル・合掌・・・。

 

 

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【写真3】富士見峠から火打山を。

 

高谷地ヒュッテ13時到着

 

急斜面を斜め横断し、少々登ったところが「高谷地ヒュッテ」だ。13時到着。
そこにはたくさんの人達が休んでいた。顔見知りの高田自衛隊の方々が、2~3日の日程で、火打山山頂付近で楽しむとのこと。うらやましい!!。

 

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【写真4】高谷地ヒュッテにて。

 

高谷地ヒュッテに今晩の宿泊について問い合わせたところ、空きがあるとのこと。
もしかしたら、泊めてもらうかも?とお願いし、火打山頂に向けて、14時出発!!高谷地を横断し、尾根コースを取らず、直接斜面を斜めに横断し火打山頂をめざす。登っている人、下って来る人…、豆粒が動いている。
最後の急斜面を登り始めて、まもなく小生の太ももに痛みが・・・。
吉田さんにエアーサロメチールをかけると良いとアドバイスをいただき、さっそくお借りして両ももにサロメチールをぶっかける。
良くマッサージをしたのち、最後の力を振り絞って、登り始める。エンヤコーラヤー!!。

 

火打山頂に到着

 

 やっとの思いで火打山頂に到着。バンザーイ!!!!!

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【写真5】火打山山頂にて妙高山を。

 

山頂には、たくさんの方々が休んでいた。見ると、ほとんどの人達は50歳以上の様だ。
時はすでに16時となっていた。今日は、ほとんど風も無く、すばらしい天候だ。すぐ目の前に妙高山が見える。
焼山が見える。遠くにシャルマン山頂が見える!!。まさに、360度・大パノラマの眺望だ。
写真を撮ったり、あちこちを眺めたりしながら吉田さんと、これからどうするか考える。

一案は、一旦、高谷地ヒュッテまで下山し、明朝もう一度火打山頂まで来て、そのあとシャルマン山頂をめざす。
もう一案は、このままシャルマン山頂に向かって下山を行う。・・・いろいろと思い悩んだ末、シャルマン山頂を目指し下山することに決定!!。幸い、今夜~明日にかけて天候も良さそう。
最悪、途中でビバークも考えた末の結果だ。

 

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【写真6】火打山頂から大毛無山を見おろす。

 

シャルマン山頂を目指し下山

 

16時30分、下山開始。雪質は表面だけ固くなっている状態。気温が下がってきた為だろう。
スキーの板が4~5cm埋まるのと、表面の固い部分に板が引っかかる為、かなり滑りにくい。
しかし、もう後戻りは出来ない。目的に向かって進むのみ。何しろ、二人とも始めてのコースなので、全く未知の世界だ!!。
どの様な危険が待ち受けているか、全く解らない!!。
今、二人の持っているのは少々の食料・アイゼン・50mのロープ程度のものだ。
空沢山付近まで行ければ、何度も調査を行っているので、どうにでもなるとの思いで、決行したのだ。

 

妙高村・糸魚川市・能生町の合流点「高鳥平」

 

約4~500m下って、少々登ったところが相当広く平らな尾根となっている。
ここは、妙高村・糸魚川市・能生町の合流点である。
今から約40年前、25歳で能生町の町長となられた高鳥修氏(その後、新潟県議会議員・衆議院議員)が中心となって、能生町山岳会の人達が名づけた「高鳥 平」との事である。当時は、空沢山に通じる尾根の突起(名も無いピーク)より、東側の尾根沿いに能生側を下だり、ダムまで下るコースを下山したとのことで ある。

目の前に、このコース最大の難関と思われる。前記の突起が見える。相当に厳しそうだ。ところどころ尾根に雪の無いところもあり。
小生、身震いする。「高鳥平」から尾根づたいに滑り下りるが、左右のガケの間を滑る為にかなりのプレッシャー!!。
相当、膝にきている様だ。固いところと柔らかいところとがあり、滑りにくい。
幅員が狭かったり、急傾斜であったり、本当に危険な場所はスキーを脱いで、徒歩でゆっくり進んだ。

 

笹倉温泉に下山するコースに急遽変更

 

 その時、目の前に大きな足跡!!。・・・間違いない、熊の足跡だ!!。それもあまり古くない様だ。
南無阿弥陀仏・・・・・・。「どうか、熊ちゃん来ないでおくれ。お願い!!」。

だが、しかし後戻りは出来ない。進むのみだ。尾根づたいに突起の手前の、最も低い尾根まで進んだが、思ったより突起が高そうだ。相当、足にきているので、もう登るのは辛い。
そのずっと先に下ってからの空沢山~放山にかけての登りも辛い。
いろいろ考えた末、思い切って焼山の裾野に下って、笹倉温泉に下山するコースに急遽変更!!。大丈夫かなぁ~?。

 

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【写真7】尾根から焼山裾野へ下る。

 

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【写真8】吉田氏をパチリ。

 

いずれにしろ、どちらも初めてのコースだ。
時は、17時を回っていた。残り時間せいぜい2時間だ。日没後は、進行できない。最悪、ビバークだ。
尾根から、焼山の裾野へ下るコースは思ったより厳しくない。雪質も柔らかくなり、滑りやすくなってきた。

 

「塞の河原」

 

何ヶ所か「雪なだれ」の跡があったが、その上を滑り下ったところが・・・?
「あっ!と驚く、為五郎」。
見渡す限りの大雪原!!。何千ヘクタールはあろうか?数キロ先まで、真っ平らだ。
若干の下り勾配で、スキーで滑るとトコトコ・・・駆け足程度の速さだ。
15分も走った頃か、突然目の前が分断されている!!。かの有名な「塞の河原」だ!!。

深く切り込んだ沢のために、向こう岸(約20~30m)に渡る場所がない!!。
時は、18時前。あたりが少しずつ薄暗くなってきた。小生も少々焦る!!。
このような時こそ、冷静に冷静に・・・冬山は沢を下る事は大変危険と認識している。
上流に上がれば、沢が浅くなるので、渡れるところがあるかも?数百メートル上流へ登り、先を見渡したが、依然深い沢だ!!。
吉田さんと二人でさ迷っているうち、一ヶ所だけ何となく渡れそうな場所を発見!!。
これしかないとの思いで、沢に下る。幸い、雪で埋まっている為、沢の水は無い。ありがたい・・・感謝・感謝・合掌・・・。
「あんた達は一体何処から下りて来たのだ?。」

 

やっとの思いで、沢を渡ることが出来たのだ。「塞の河原」を渡り切った所から、またまた、大雪原。
またもや数キロメートルはあろうか?。トコトコ・・・
ゆっくり、ゆっくり笹倉温泉に向けて滑る。あたりは、だんだん暗くなって来た。でも、標高1000m近くまで下っていると思う。
天候も良いし、最悪のビバークもやむなしか?と考えながら進んでいる時、前方にテントが2~3張見えたのだ!!。
なんでこんなところにテントが??と思いつつ近づいてみると、10人位の人達が酒盛りの真っ最中!。
我々二人を見つけて、ビックリした様子。「あんた達は一体何処から下りて来たのだ?。」と問われ、火打山から二人で下りて来たのだと答えると、我々をジロジロ見つめ、「よくもまぁ~」と驚いて、あきれた様子であった。

その人達は笹倉温泉から登り始め、今夜はこの地でビバークし、明朝、焼山にチャレンジ!行けるところまで行って、滑り降りる予定とのことであった。
笹倉温泉までの道順をお聞きしたところ、「真っ直ぐにスキーの跡を下って行けば、笹倉温泉に行くわね!」。と簡単そうに教えてくれたのだ。

 

日没まで、あとほんのわずか

 

時は、すでに18時30分。日没まで、あとほんのわずかだ!!。
進行して行くと、若干、上りになり、数十メートルの丘を登った付近からスキーで滑った跡がかなりある。
近隣の人達が滑りに来ているのかも?そう思いつつ、20度前後の斜面のコースを滑り下りる。辺りがだんだん暗くなって来た。
そのうち、林道らしきコースに入った。「あとは、この林道らしきコースを道なりに下れば、笹倉温泉に着くはず!」と思いながら滑る。
もう足はガクガク。完全にアウトだ!!。とうとう、完全に暗くなってしまった。

時は、19時を回った。

 

19時30分、ついに無事生還

 

暗い中を目を凝らしながら進む。若干、月の光があるのか?なんとなく、10メートル位なら、ぼんやり見える。
杉林の林間コースを滑り降りた。突然、目の前に黒い道らしき物?・・・よく見ると舗装道路だ!!。
林道がそこまで除雪をしてあったのだ。
19時30分、ついに無事生還!!。
今日の朝8時30分~19時30分までの、11時間の走破であった。
あのままシャルマン山頂に向かっていたとしたら、たぶん空沢山付近を進行中か、どこかでビバークしていたと思う。
黒い道路の上を、スキー靴で約15分程度歩くと、ついに念願の笹倉温泉に到着!!。
腹が減っているのと、温泉に入りたいとの思いで、笹倉温泉の建物の中へ…

 

おいしそうな匂い!しかしお金が無い・・・

 

「あっ!金が無い!!・・・」
疲れ切っていて思考力も無く、お金の持ち合せも無いことを忘れていたのだ。
「山に行くのにお金は特別必要なし!」。と、持参して来なかったのだ。反省・・・。
フロントにお願いし、小生の名前を告げ、風呂に入れてもらう事が出来た。
風呂へ向かう途中、ラーメンの店があり、おいしそうな匂い!。しかしお金が無い・・・。仕方ない、我慢だ。「グー!!」。

 

ラーメンはうまかった

 

だが、温泉から上がって吉田さんと歩いていると、又もやラーメンの匂い!!。やっぱりラーメンが食べたい!!。
お金無い。後で持参する事を告げ、ラーメンを食べさせてもらう事が出来た。誠にうまかった。感謝・感謝・合掌!!。
そのあと、小生、家に電話を入れ、娘に迎えに来てもらい、なんとか風呂代・ラーメン代を払う事が出来た。
そして、何よりもケガも無く無事生還する事ができたこと、吉田さん、そして「天」に感謝します。合掌…。

 

平成15年4月27日(日)

丸山 隆志

 

【 後 記 】

 

今度は、事前の準備と、もっと余裕のある日程で

 

今回の火打山~笹倉温泉のスキーコースは、当日の朝、決定し決行したが、 事前の準備と、もっと余裕のある日程と、出来れば朝、暗いうちに笹ヶ峰牧場を出発するか、前の日に高谷地ヒュッテに一泊し、朝、火打山頂を目指し、山頂よ りシャルマン山頂もしくは、笹倉温泉へ滑り降りる事が、ベターだと思った。
そして、今回は途中から笹倉温泉に進路変更をしたが、何としても、シャルマン山頂に向けて、今一度チャレンジ出来る事を願う!!。